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白灰色の畔
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この島で二度目の『夏休み』。
一行は人気のない浜辺に来ていた。
休日を満喫する為の贅沢な一日。

去年も楽しかった。
けれど、今年はもっと楽しい。
そう思いながらハイダラは、カディムが用意した大きなパラソルの下でにこにこと、海とそこで波間に戯れるレンジィを見ていた。

彼が水着を借りて来た時、ハイダラは、彼が去年よりも『楽しもう』としている事、そして『無意識に、楽しむ方向へ視線を向ける事が出来た』事を、何となく悟った。
それはとても良い事の様に思われて、自然笑みが浮かんでしまう。支度をするカディムの「御機嫌でございますね」という言葉にも、笑顔のままこっくり頷いたくらいだ。

『ハイダラは、本当に入らなくて良いの?』
「水は大好きなんだけれど、塩がねえ」

同じく浜辺で寛ぐ組であるロージャが、ほわりと光る。
瑞々しい銀色の柄を撫でながら、ハイダラは肩を竦めた。

『塩? 海水の?』
「うん。ぺたぺたするし、飾り達も塩に弱いものがあるから。それと少し太陽が強過ぎるかな。日焼け、というんだっけ? あれは痛い」
『日焼けかあ。カディムは日焼け、平気なのかい?』
「それほど、気になった事はございませんね。案外、絨毯の時の方が、退色を気にしなくてはならないのかもしれません」

微かに笑いながら冗談を口にするカディムに、ロージャも笑う。
海ではレンジィがすいすいと水を掻いて泳いでいた。気持良さそうな様子に、ハイダラが声をかけた。

「レーン! レンジィ!」

気付かない。余程楽しいのだろう。口元が綻ぶ。
青い海と戯れるレンジィの姿は、成る程、水の魔術師の名に相応しい。些か童心に返った魔術師と言うべきか。ハイダラは軽く手を上げて振りながら、もう一度、

「レンー、そっちはどうー?」

今度は聞こえたようだ。レンジィが立ち上がり、浜に向かって叫び返して来た。

「すっ、ごい、楽しい! 涼しくて気持ちいいぞー!」

声の調子からも楽しんでいる事が分かる。笑いながら手を振り合う。カディムは眩しげに目を細め、海面と天頂と太陽の位置で時刻を計りつつ、ハイダラやロージャのこまごまとした世話をする。
ロージャもふわりふわりと柔らかく光っていたが、そのうち、ちかり、ぺかり、と不規則に光りだした。どうやらレンジィと念話で話をしているようだ。(ロージャは、ある程度の距離であれば、離れていても念話——テレパシー——で会話をする事が出来る)

「おいロージャッ! 俺一人だって色々できるぞ、見てろよッ!」

その会話に端を発しているのか、急にレンジィが叫んだ。
驚いたハイダラとカディムの視線の先で、ゆっくり、ゆっくり、海面の一部が盛り上がり始める。柔らかな感触を覚えそうな水の曲線。魔力の波動が伝わって来る。

「……あれは!」

見る見るうちに、海から巨大な鯨の頭が突き出した。
水の鯨だ。
青みを帯びて透き通った水の塊が、生き物の形を模して浮かび上がって行く。
まるで、己の泳ぐべき場所は空であるという様に。

「……大きい。……これは、御見事な」

カディムの言葉通り、見事な光景だった。
巨大な鯨が涼しげに尾を上下させ、身体を僅かに揺らして、海の上、数メートルのところを回遊し始めたのだ。
レンジィがその鯨を背に振り向いて、笑った……、と、その時。


『馬鹿ッ! 集中を解くなッ!』


強く光ったロージャの声は、余程強い念話だったのだろう。ハイダラにもカディムにも伝わってきた。
そして次の瞬間、

ドッパアアアン!!

響き渡る盛大な破裂音。
夏の陽光を反射して飛び散る飛沫。
巨大な鯨は、巨大な滝となって、生まれ故郷の海へ帰還を果たした。


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【Summer Vacation Part ”Daytime”】より一部抜粋



(以下PL)
 

 
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ハイダラPLです。

ジャフティ(271)さん主催『Summer Vacation』、昼の部です!
さまー、ばけーしょん……。(いま、ふゆというか、はるですね……)
土下座ものの遅れです。本当に申し訳ありません。どうかお許しください。orz


ということで、イベント纏め第一弾。
『Summer Vacation 〜昼の部〜』はレンジィPLさんからの頂き物。

今回の見所は何を置いても「夏の色」だと思います。

■レンジィさんのプロフ絵も是非ご覧になってください!(レンジィPLさんのブログ)

この青い空と青い海!
「そう! こんな色!!」とうんうん頷いてしまいます。
そして、白い雲。強い光と、反射する光と、日陰……。

レンジィPLさんの描く『青』は、ちょっと、何と言えば良いのか、一種独特のものがあって、こだわりを感じます。綺麗で、それでいて、強い。

レンジィさんの腹筋に大注目したというのは秘密……。(*ノノ)
腹筋もですが、左脇腹の傷跡は、この時に初めて絵という形で表に出た(日記や会話中の表現はあったのですが、視覚的には初めてだった)という事で、その点もとても印象深く覚えています。

あと かっこういいひとは、みずにぬれると よけい かっこういいですね! (にこ)


ハイダラの格好は、毎回毎回ご面倒をおかけし心苦しいのですが(何しろ装飾品が多い)、いつも素敵に描いて頂けて、本当、嬉しいです。ありがとうございます。(*´▽`*)
今回は布が目を引きますよね。
頭のベールのような布はラピスラズリを思わせる色合い。紗のようで、透ける感じが綺麗だなあ。
腰の布はろうけつ染め? 絞り染めなのかな? 綿の肌触りといい涼しい色合いといい、夏っぽさ全開!

そしてどうしよう。カディムの控え方が何だか格好良い……。
か、カディムのくせに!(最近こればかり)


そして、『Summer Vacation』は夜へと続くのでした……。
 
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消えてしまった手紙と日々の覚え書き
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ハイダラ。
白灰色の男が呟く独り言。
時折、夢も見ている。

メモや日記の保存など。非同期型ネットゲームに参加したり色々と。
RP(キャラロール)的な記事があるので苦手な方はご注意ください。
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