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白灰色の畔
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(追記に日記ログ)

 

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星は水辺にも降りてくる。
波頭を輝かせるのは、あたたかな色の灯火。
水面を渡る風の冷気さえ忘れてしまいそうな程。


冬の祭の夜。
私達は船の上にいた。

船を借り切って楽しむむきは案外多いようで、ここからも多くの船影が見える。
その一艘一艘が、皆あたたかな灯りを掲げているものだから、つい寒さを忘れそうになったのだ。
もちろん、持ち込んだクッションや毛布や、一緒にいる優しくて素敵な魔法使いのおかげもあるのだけれど。

「盛り上がってんねぇ」

優しくて素敵な魔法使いであるレンの呟きに、ふと笑みが浮かぶ。
この島の皆は、私達を含め、そろって祭好きなのだ。

「大勢で宴を開く人達も多いようだからね。あちらはきっと賑やかだ」
「なるほど。……ってか、割と船で宴会する奴多いのな。俺らも含めてさ」

船は増えこそすれ、減る様子は全くない。
通り過ぎて行く船もあるのだが、その場所にもいつの間にか新たな船がやって来る。
大きな船。小さな船。屋根のある船。
賑やかな船。静かな船。
光に満ちた船。花に満ちた船。音楽や歌声の聞こえる船。
端々に下げた灯りが暗がりに様々なシルエットを描く。
影と灯りの隙間、どれ一つとして同じもののない、華やいだ色彩が垣間見える。
そして、降るような星。

それら全てが揺れる水面に反射して、どこからどこまでが水上なのか、分からない。
溶け合うような夜景。
こんな夜は世界が歌っているようだ。

「それにしても随分と面白いお酒を見つけて来たね、レン」
「だろ? 中の星も食えるらしいぜ」

私達の手にある酒はなかなか洒落ていた。
なにしろ小さな星がいる。
金色のシャンパンの中、弾ける泡に包まれて、浮いたり沈んだりする小さな星。

「ふふ、星を食べてしまうなんて、どこかの神話にありそうだ」
「月と太陽を食っちまうのはあった気がするなぁ。星はあったっけ」
「さあ、どうだっただろう。どこかにあってもおかしくはないと思うけれどね。神話の住人は何でも食べてしまうから」

ゆっくりと揺れる船に合わせてグラスの酒も揺れる。
泡が弾けると、柔らかく芳しい酒の香りがたつ。

「んじゃ、そろそろ俺らも乾杯しねーかい? 腹も減って来たしさ」
「そうだね。夜も更けてきた事だし」

グラスを掲げ、星と祭と相手への感謝を込めて。


「――乾杯!」




見上げれば、夜空を埋め尽くす星
見下ろせば、揺れる水面に輝く星。

星のはざまに漂うような夜。


小さな星は甘くて、ぱちぱちと弾けた。



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消えてしまった手紙と日々の覚え書き
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ハイダラ。
白灰色の男が呟く独り言。
時折、夢も見ている。

メモや日記の保存など。非同期型ネットゲームに参加したり色々と。
RP(キャラロール)的な記事があるので苦手な方はご注意ください。
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